Electronicaの車窓から

IziphoZam2004-10-23

Jan Jelinek / Loop-Finding-Jazz-Records
 (2001, Scape)

 私にとってエレクトロニカの中でも別格中の別格Jan Jelinek(a.k.a. Farben, Gramm)の自身の名義での1stアルバム。昔よく通っていた今はなき、ユナイテッドアローズ系列のノンセクトの店長さんに当時オススメされて購入しました。Jan Jelinek(ヤン・イェリネック)は1998年から音楽活動を開始し、オーガニック色の強いFarben、ダンスフロア・ミュージックに傾倒したGrammと二つの名義で活動し、今作の名義は彼が好んできたジャズを現代的に解釈・体現化した第三の名義。
 アルバムタイトルからも想像できるように、主に60〜70年代のジャズのレコードのサンプルのループを基調としています。「そんなループを基調にした音楽ならいくらでもあるし、エレクトロニカなら誰でもできるじゃーん」って思った方がいらっしゃったら後で体育館裏来てください(笑)。様々なサンプリングミュージックを見てみてもこの作品は全く別格といってもいいです。
 では何がそんなに違うのかといいますと、やはりサンプルした断片とエレクトロニクスを用いたそれらの再構築です。エレクトロニカや音響といったジャンルにはノイズ音が多用されていて、作品や強弱によっては耳障りな音になってしまうことがあります。この『Loop-Finding-Jazz-Records』に収められている作品群は、逆にそういった音を楽器の代わりとして用い、音楽を奏でています。例えば針をレコードに落とすプチッという音をビートにしたり、レコードをかけてるときに聴こえるシュシュといったノイズをいわゆるスネアにしたりしています。(Gang Starr「The ? Remains」でも使われてました)。おそらく鍵盤楽器や管楽器をサンプルしてると思うんですが、何回もサンプリングしまくってたりエフェクトかけまくったりしててもう何の音かほとんど特定できません。。が、それらの断片を連ねて時折情緒感ある気持ちいいメロディーを聴かせたりします。
 エレクトロニカは市場にたくさん出回ってるとはいえど実際ピンからキリがありますし、その人の嗜好によって聴ける聴けないがあると思います。そして何よりも、テクノミュージックと同様に生の楽器による演奏がほぼ皆無のため、有機性や情緒性が他ジャンルよりも低いためか手をつけにくい音楽の一つというのも確かです。でも私のエレクトロニカ初体験だったこの作品はそういったものが感じられました。そういうことを考えると、そのジャンルの初めて聴いたレコードってけっこう大切なんだなーって思いました。なんか最後にブツブツとすいません。。

【関連サイト】
http://www.scape-music.com/