Breakbeatsの車窓から

IziphoZam2004-11-11

Take / Third Story
 (2003, Buttermilk)

 Bedroom Produksionzなどが参加したあの気持ち悪いジャケットながら良質なジャジーヒップホップが詰まったコンピ「The Shinin' Director's Cut EP」にNoneと共にプロデュースで参加していたTom WilsonことTake (One)の昨年リリースされたソロミニアルバム『Third Story』。Tommy HoolsやKid Locoを思わせるようなヒップホップ/ダウンテンポビートを基軸にした新たなビートクリエイターです。
 LAのアンダーグラウンドヒップホップレコードショップStreet SoundsのバイヤーであったNoneとの出会いから彼の音楽活動は始まり、彼の地元のオリンピアのクラブTheklaで毎週DJを担当するようになり、98年にNoneのトラックを含めたブレイク集「Emergency Breaks」を発表し、そしてLAやシアトル/タコマのアンダーグラウンドヒップホップシーンでも有能なMCたちと共同で作られた良コンピ「The Shinin' Director's Cut EP」を発表しました。
 ‘Madlib meets early DJ Shadow with a twist of Prefuse 73 without the glitch.’
 そう称された彼のサウンドは、積み重なれた埃のかぶったレコードとサンプラーのみで作られたせいか、埃っぽいジャズサンプルの中に温かさを感じるMadlibと初期DJ Shadowに見られたアブストラクトでありながらも精細にプログラミングされたドラムや、「What Does Your Soul Look Like」のようなタイトなビートを掛け合わせたようなサウンドです。とは言ってもまだまだ彼らには及ばないですが、彼自身の名義でリリースがなかったのがおかしいくらいに良質な曲を聴かせてくれます。その精細な生ドラムのビートに美しい音色のローズが響く「Next」[M-3]、時折パーカッションが絡むアップテンポなビートに、小鳥のさえずりのように聴こえるアンビエントでスペーシーな上ものとフルートとローズがとても気持ちいい「Looking For Life」[M-4]。そして初ソロ作とは思えないくらいかっこいい「L.A.T.」[M-6]は、鼓動に響くようなミディアムテンポのビートとピアノのループが傷心気味の人の心をグサグサと突き刺してしまいそうな叙情的でとても美しい曲。またその上にのるサックスやフルートのサンプルがさらに助長させてくれます。
 今年発売されたシングル「Pieces From the Puzzle」に続いて、DaedelusやNordic Soul、Rednose Distrikt 、Cauralらのリミックスを含むシングル「Colossal」(Vol.1 & 2)がもうまもなくリリースされる(た?)みたいです。




【関連サイト】
http://www.buttermilkstudios.com/take/take.html
【試聴】
http://www.groovedis.com/lp/take/thirdstory/thirdstory.asp
http://www.juno.co.uk/IP/IF147000-01.htm