LAアンダーグラウンドコミュニティー特集 Vol.6

IziphoZam2004-10-04

Saul Williams / Amethyst Rock Star
 (2001, American Recordings)

 〔HipHop/Rock
 はじめにいうのも何ですが、実はこのアルバムは音的にはあまり今の好みではないんです。が、この方は昨日紹介した作品にも参加してるように、LAでは当然ですが世界的にも賞賛されている人物なので紹介したいと思います。
 Saul Williamsはラッパーというよりはポエトリー・リーディングの人で、数々のオープンマイクのイベントに参加したりしていましたが、彼がそのような枠組みで脚光を浴びるようになったのはマーク・レヴィン監督による、黒人差別を題材にした映画『SLAM』(サンダンス映画祭ドラマ部門・グランプリ)に主演したことからでしょう。フリースタイル・ラップともポエトリー・リーディングとも言い難い独特なスポークンワードで、政治・社会的に限らず原始的な人間観など一聴ラディカルに聴こえますが、とても奥深い内容のリリックを詠っていきます。彼自身の心と言葉に一切偽りを付けないスタイルは、ある意味ポエトリー・リーディングの代表例とでも言うべきでしょうか。彼が詩集を出版したり、国内・国外の大学などでレクチャーやライヴを行っているのもうなづけます。また、The FugeesErykah BaduKRS-OneDe La Soulなど高名なヒップホップアーティストの客演以外にも、キーボーディストWeldon Irvineのポエトリー・リーディングアルバム『Embrace The Positive』や先日紹介したHu Vibrationalの片割れAdam Rudolphのパーカッションプロジェクトアルバム『Go : Organic Orchestra : 1』などジャンル問わず様々な作品に参加していることからも彼へ対する歓呼・賛嘆の声が窺えます。
 今回の作品は彼のデビューアルバムに当たります。プロデュースはRed Hot Chili Peppersなど数々の著名なアーティストのプロデュースで知られるRick Rubin(最近はJay-Z『Black Album』にまで曲提供してましたね)。彼について私は詳しく知らなかったのですが、へヴィロックを中心にプロデュースしてきただけあってかなりアグレッシヴなサウンド中心で、ヒップホップ/ロック/アンビエント/ドラムンベースとドープなトラック揃いです。9曲目の99年にリリースされたシングルの再録である「Coded Language」は、Talkin' Loudからのリリースでも知られるブリストルの雄DJ Krustによるドス黒いドラムンベーストラックだからかポエトリーリーディングがなお冴えてる感じがします。まあその時々の好みもありますけど、正直サウンドがかなり激しめなので私的には上記に挙げた作品などがお薦めですね。。

【関連サイト】
http://www.saulwilliams.com/