LAアンダーグラウンドコミュニティー特集 Vol.7

IziphoZam2004-10-05

Madvillain / Madvillainy
 (2004, Stones Throw)

 〔HipHop
(注)MadlibMF Doomについての詳細は、あまりに膨大な量になると思われますので今回は控えようと思います。
 こう振り返ってみると何だか誰もが知ってるような作品ばかり挙げてますね。。今日の何か特に。。そんな作品が多くなってしまいますがとりあえず続けていきたいと思います。今日はこういう音が好きな方なら誰もが待ちわびていたMadlibMF Doom=Madvillainによるアルバム『Madvillainy』。昨年(2003年)からなかなか正式なアナウンスが出ませんでしたが、今年の春になってようやくリリースされました(Jaylib同様、おそらくブートが出回ったためでしょう)。だってリリースが早いDudley Perkins『Lil' Light』(STH2067)とCharizma & Peanut Butter Wolf『Big Shots』(STH2077)よりリリースナンバーが下ですもんね笑(『Madvillain』=STH2065)。
 まあとにもかくもリリースされた今作品はMadlibMF Doomのコラボアルバムで、1曲を除いて全曲プロダクションはMadlib、ラップはMF Doomとハッキリと役割分担がされてます。Jaylibとは異なり作曲・録音のアプローチが共同作業で行われていたので、MF Doomのラップに合わせているところもありますがお互いの色が消えてません。そして、少しながらLAアンダーグラウンドコミュニティーが見え隠れしている作品でもあります。Stones Throw自体、LAに構えてるレーベルなので関連性は見つかりそうですが、2曲目「Accordion」にそのまんま現れてます。Daedelusの「Experience」を聴いたことがある方ならば一発でわかったと思いますが、このアコーディオンのサンプルはこの曲からサンプリングしてます。クレジットにも記載されてますね。Daedelus『Quiet Party』にYNQ名義でリミックス参加したことで交友関係に至ったかどうかは知りませんが、Madlibの作品にDaedelusの作品がサンプリングされるとは予想もしませんでした(笑)。いずれにしてもお互いの音を聴いていたことは間違いなさそうですね。コミュニティーって物理的・地理的な媒体などを通したコミュニケーションの蓄積によって形成されていくものですが、クリエイティヴな世界はこういうものが交流となって広がっていくから面白いです。土地柄もそうでしょうけど、奥底にある土壌のに共通するニオイを感じるのでしょう。そういえば、『Dublab Presents : Freeways』にもYNQの曲が収録されてましたもんね。しかもデビュー前に。
 アルバム自体はMadlibのヒップホップ作品の中でも最上級だと思います。ジャズネタの選曲やそのサンプリング、図太いビートといい、そしてやっぱMF Doomのラップが最高にマッチしてるところですね。私の好きな曲を挙げると、シングルカット曲は言うに及ばず、MedaphoarをフューチャーしたBill EvansNardis」使いの「Raid」[M-5]、オルガンによるブレイクからドープなキーボード音のループに切り替わる「Figaro」[M-14]、Stacy Epps(Sol Uprising)をフューチャーした珍しい女性Voの「Eye」[M-18]ですかね。「All Caps」[M-20]は、ドープな音なのにメロディーがいいんで何かもう嬉しくなっちゃいました(笑)。
 私自身ヒップホップは3、4年前から聴くようになったんですが、この作品を聴いて久々に「ヒップホップを好きになって良かった」と思いましたよ。恋愛と同じですね。まだ聴いてない方にとっていい出会いとなることを期待します。
 今日はOh No『The Disrupt』がついに発売だー。久々に東京出るからGary Wilsonの新譜『Mary Had Brown Hair』もゲットしますかね。なんせ地元じゃ売ってないもんで。。

【関連サイト】
http://www.stonesthrow.com/madvillain/index.html
http://www.mfdoomsite.com/