LAアンダーグラウンドコミュニティー特集 Vol.9

IziphoZam2004-10-07

Nate Morgan / Journey Into Nigritia
 (1983, Nimbus)
 (2004, Celeste)

 〔Jazz
 1983年とだいぶ昔の作品になってしまいますが、最近CDでようやく再発され、この特集で挙げている諸作品でも活躍してるアーティストなので是非とも紹介したいと思います。以前取り上げたBuild An Ark『Peace With Every Step』のキーボーディスト/ピアニスト、『Keepintime : A Live Recording』のRemix CDに収録されているAmmon Contact「Infinity Of Rhythm Mix」にフェンダーローズで参加していた人です。
 このレコードはちょうどスピリチュアルジャズを聴き始めてから見るようになったスピリチュアルジャズをまとめたサイト‘deep jazz experience’(最近のアンテナ)で知りました。‘Nimbus(現Nimbus West)’という初耳のレーベルコーナーにあったこのレコードは、ライナーにも書いてありましたが、星空満開の宇宙をバックにNate Morganが鍵盤を前に世界地図を指しているジャケットからしてハズレなはずがないと思っていて、なかなか中古でも見つからないと思っていた矢先にちょうどCD再発の情報が舞い込み即購入にいたりました。このNimbusというレーベルは、LAのワッツ地区において若手ミュージシャン育成を主としたPan-African Peoples Arkestra(Nate Morganも早期参画)を結成していたHorace Tapscottに感銘を受け、彼の音源を世に出すべくTom AlbachがLAに設立したレーベル。設立後はTapscottだけでなく彼の指導を受けた若手のアーティストなどの作品なども輩出してきました。西海岸におけるブラックジャズの地位向上・発展を一翼を担ってきたNimbusは、現在Nimbus Westと改名されましたが運営されているそうです。その中でNate Morganは腕を磨き、今作を含め3枚のアルバムを残しました。何だかCarlos Ninoが考えてきた、築いてきた功績と似ていますね(一部ライナーより抜粋)。
 肝心のNate Morgan『Journey Into Nigritia』の話に戻ります。今作は1stアルバムにあたり、全編的にMcCoy(Tyner)スタイルのピアノや情緒的なナンバーを聴かせてくれます。収録曲は6曲なのでざっと紹介しますと、「Mrafu」はスピリチュアルなイントロから始まりテンポの気持ちいいピアノリフに高揚感溢れるベースがかなりグルービーでかっこいいです。「Morning Prayer」はタイトル通り朝焼けの雲隠れからの射光が似合いそうなピアノソロ。後半部分の力強さと優しさが入りまじったメロディー展開は涙が出そうになりますね。「Mother」も同様に叙情的な雰囲気漂うピアノメインの曲。Build An Arkでもカバーしてましたね。表題曲の「Journey Into Nigritia」はキャッチーなメロディーとビバップ風のトラックの交互展開がとても素晴らしいです。「He Left Us A Song」は同様な展開を見せながらもハード・バップに近い疾走感溢れるビートとピアノリフがたまりません。この曲のインプロゼーションはまさに宇宙旅行へ連れていってくれそうな雰囲気にさせてくれます。最後を飾る「Study In C.T.」はこれまでとはうって変わってAEOCを思わせるような前衛的なナンバー。エンディングということもあって往くとこまで往ってしまったって感じですかね(笑)。
 しかし北浦知司先生(Music Conception)のライナーはどれを読んでも分かり易くていいですね。勉強になります。。

【関連サイト】
http://www.nimbuswest.com/
http://www.clst.jp/