LAアンダーグラウンドコミュニティー特集 Vol.10

IziphoZam2004-10-08

Nobody / Pacific Drift : Western Water Music Vol.1
 (2003, Ubiquity)

 〔Breakbeats
 LAアンダーグラウンドコミュニティー特集もVol.10までいき、ちょうど今日で最後となりました。毎度言葉に出していますが、それぞれのアーティストのバックグラウンドや、彼らが培ってきた知識や経験といった土壌があまりにも巨大であるためまだまだ挙げるべく作品はたくさんあります。が、はてなでそれらの関連性などをまとめるには限界が生まれてしまうのが現状です。なので特集のほうは今日でいったん終了とし、うまく特集を組めるようになったらまたこのような特集を設けたいと思います。
 最後を飾るアーティスト/作品はUbiquityが誇るビートクリエイターNobodyの2ndアルバム『Pacific Drift : Western Water Music Vol.1』。曲にも現れているように、彼は60年代のサイケデリックなソフトロックが相当好きらしく、LAを活動の拠点にしていて、Dublabファミリーとも繋がりが深くDJも行ったりしているそうです。最近は『Keepintime』のRemix CDにも楽曲提供していましたね。
 今作も前作同様に多彩なゲストが参加していて、Jimmy Tamborello(Dntel/The Postal Service)、Ikey Owens(Mars Volta)、Dave Scher and Chris Gunst(Of Beachwood Sparks)、Languis、Paul Larson(Athalia/Dntel)といった面々。前作はゲストにヒップホップ勢を迎えたからかシンプルなビートが目立ちましたが、今回はNobodyのサウンドに近いアーティストが多く、サイケで深みの増したビートを更に引き立ててくれています。基軸のビートはダウンテンポ/ヒップホップなんですが、チープなシンセ音/キーボード音やサイケなエレキギターが60年代のあのローファイな感じをプンプン匂わせます(笑)。「Porpoise Song (Feat. Chris Gunst) 」[M-4]なんかビートが太くなった中期ビートルズかと思わせるようなトラックで、彼のヴァイナルジャンキーぶりを発揮しています。ジザメリを思わせるようなビートの「Psilo-Cylcing (Trip 'Round the Block) 」[M-7]やテンポのいいビートにサイケなノイズとキーボードが美しく絡み合う叙情的な「What Fall Brings」[M-10]などからも、今作はNobodyの現在の位置づけを決定づけた作品ともいえます。今すぐ晴天の下の花畑にトリップしたいという方、是非とも聴いてみてください。

【関連サイト】
http://www.ubiquityrecords.com/ur135.html