HipHopの車窓から

IziphoZam2004-10-22

Common / Like Water For Chocolate
 (2000, MCA)

 今秋に出す予定と語っていた新作が待たれるコモンの4thアルバム『Like Water For Chocolate』。学生時代に友達から借りて一耳惚れしてしまいました。コモン先生は全部聴いたことはないんですが、私が今まで聴いてきたヒップホップのアルバムの中でも5本の指には入るくらい大好きな作品。発売されて4年も経つのにちょくちょく聴きたくなるときがあるんですよね。
 今作品の表題はメキシコの小説家Laura Esqivelの同名ベストセラー小説からとったそうです。小説の内容は読んでないんでちとわかりません。プロデュースはD'Angelo『Voodoo』と同じメンツのThe Soulquarians(D'angelo、?uestlove、James Poyser、Jay Dee)、DJ Premier、Karriem Riggins。ゲストにはVinia Mojica、Roy HargroveFemi KutiRahzel、Black Thought、Jill ScottMos DefBilal、Slum Villageなどなど。今見るとこんなメンツで悪いわけがありませんよね。スター寄せ集めのどっかのサッカーチームとは違って。
 全曲好きなんですが何曲に絞って。アルバム中もっとも好きな、アフロビートのパイオニアFela Kutiに捧げた「Time Travelin'(A Tribute To Fela)」[M-1]は同人物の息子Femi Kutiをボーカルに迎えたThe Soulquarians風アフロビート。Roy Hargroveによる埠頭の雰囲気が漂うムーディーなトランペットとVinia Mojicaの優しいささやきで始まり、浮遊するバックトラックと心の鼓動に響くようなハンドクラップ/ドラム、ストーリーテリング風のCommonのラップがとても気持ちいいです。「Dooint」[M-4]はグルーヴ感たっぷりのベースと、カットアップされたピアノとギターの構成がかっこいい、Commonの昔のバトルMCっぷりのラップが楽しめる曲。
 ヒップホップ好きなら誰もが知る名曲「The Light」[M-5]は、Bobby Caldwell「Open Your Eyes」(The Platinum Pied Pipersのカバーも素晴らしかった!)をサンプリングしたピアノのリフに浮遊したシンセのメロディーがのっかり、彼の白人とは思えないソウルフルなボーカルを随所に入れるところはもう反則ですね。心に染み入りすぎて泣いてしまいますよ。。J Dillaさん、やっぱすごいですよあなた。まさに‘ソウルフル’。エンディングを飾るソウルジャズ「Pops Rap III...All My Children」[M-16]はThe Detroit Experimentにも参加していたデトロイト出身のジャズドラマーKarriem Rigginsを迎えた曲で、夢見心地なヴィブラフォンフェンダーローズに、スムースなジャズドラムとポエトリーリーディングが乗っかるCommon版‘Like Water For Chocolate’ストーリーのエンディングを締めるにはふさわしい曲。
 全曲あげると長くなっていまうのでこれくらいにしましたが、アルバム全部通しても素晴らしい作品です。また冬になると何回も聴いてしまうんだろうなあ。。

【関連サイト】
http://www.okayplayer.com/common/