HipHopの車窓から

IziphoZam2004-11-16

Kan Kick / Acid Massive Musical
 (2004, Grey Label)

 Dudley PerkinsことDeclaimeのアルバム『Andsoitissaid』をMadlibと並んでプロデュースし、最近では、Kazi『The Plague』、Oh No『The Disrupt』に楽曲提供していたトラックメイカーKan Kickの未発表&新曲集で、最近リリースされたEP2枚をまとめたもの。(みたいです。)
 96年から2000年までの音源を集めたアルバム『The Traditional Heritage』、2001年にリリースされた1stアルバム『From Artz Unknown』がひそかに評価を受け、以降Madlib周辺などの作品にちょくちょく顔を出していましたね。初期Lootpackの第4メンバーであった彼は、高校時代にMadlibに出会ったらしく、DJ Babuらとグループも組んだことがあるそうです。みなさんご存知のようにLootpackは、Madlib、DJ Romes、Wildchildの3人でデビューし、Kan Kickは脱退したそうです。
 私の勝手な解釈で恐縮ですが、おそらくトラックメイカーは二人いらないからですかね(ってんなわけないですよね。そんなグループ他にもいますし)。でも私が何となくそんな気がするのは、この人、Madlibにひけをとらないくらいの曲を作ってしまってるんですよ。そして何よりも多作!前述の『The Traditional Heritage』は25曲収録されてますし、今作品はなんと28曲!しかもどれもかっこよく、Madlibのビートテープのような短さではなく、ちゃんと曲として仕上げられてます。いくら長い間ためていたトラックだからとはいえ、こんな良質な曲をこんなにたくさん作れるってことはやっぱすごいと思います。
 すいません、感情的になってしまいました。。音のほうは初期Lootpackにいただけあって、基本はスモーキーなジャジーインストヒップホップです。といっても、ざらついた感のあるビートや心地よく打たれるビートはありますが、ローファイでマッドなスモークさはなく、より繊細なジャズ/ソウルの器楽サンプルによる構成がとてもキレイで美しいともいえる曲が多く、またソウルフルでメロウな曲もあったりします。Madlibの曲のような多彩さは見られないもの、ヒップホップのトラックメイクの面では同等ともいえるくらいだと私は思います。
 たぶん、彼はお金がなさそうなので皆さんこの作品を買って、ラップが乗った彼のオリジナルフルアルバムを制作してもらいましょう!

【試聴】
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