Build An Ark来日記念特集 Vol.3

IziphoZam2004-11-27

Phil Ranelin / Vibes From The Tribe
 (1976, Tribe)
 (2001, Hefty)

 さていよいよBuild An Arkライブ当日ですが、最後は今秋発売されたニューアルバムでのPharoah Sandersとの共演が記憶に新しい、Strata-East、Black Jazzと並ぶデトロイトをベースにしたブラックジャズレーベルTribeを創設した(Wendell Harrisonと共に)、トロンボーン奏者/作曲家のPhillip Arthur Ranelinの代表作『Vibes From The Tribe』。
 本作は、自身が主宰を務めたレーベルTribeから1976年に発表されたソロのリーダー作としては通算2枚目にあたるアルバムです。自他ともに認められた彼のレーベルと演奏家としての腕は多岐にわたり、様々なショーやフェスティバルにおいてStanley Clarke, Christian McBride, Les McCann, Sonny Rollins, Pharoah Sanders, Wayne Shorter, Jimmy Smith, O.C. Smith, Leon Thomas, McCoy Tynerなどといったあらゆるビッグネームと共にプログラムに参加してきたそうです。
 また、今年になってVUやDJ Zephなどのリリースで知られるWive Hiveからの自身の新作(『Inspirations』)以外にも、Slicker『We All Have A Plan』や本題であるBuild An Ark『Peace With Every Step』に参加し、精力的に活動していましたね。ある意味今年の影のベストアーティストかもしれません。そのBuild An Arkのアルバムにカバーとしての「Vibes From The Tribe」が収録されている本作は全体的にスピリチュアルジャズというよりは、ファンクやソウルなどの要素が散りばめられた作品です。昨日文中に述べたHorace Tapscott、Pan African People Arkestraとの活動略歴があることもそうだと思うんですが、今作の音からもLAアンダーグラウンドという様々な音楽が入り混じった土壌から放たれる音楽と似たような匂いがあったこともあって、Build An Arkに参画したことが何となく納得できます。
 とりあえずカバーの原曲だけでも聴いてみてください。きっとまたBuild An Arkの世界が拡がっていくと思います。あ、ちなみにHeftyから再発されたものには、John McEntireによって新たにミックスされたボーナストラックが3曲追加されてるのでそちらのほうがお買い得かなと。彼のミキシングは最高ですからね。

【関連サイト】
http://www.ranelin.com/
【試聴】
http://www.heftyrecords.com/store/info/033.html