Jazzの車窓から


Maulawi / Maulawi
 (1974, ?)
 (2005, Universal Sounds)

 先日紹介したSoul Jazzの『New Thing !』にも収録された、Maulawi Nururdinが若いミュージシャンを率いて1973年/シカゴに録音した作品の再発盤。
 今年になってSoul Jazz(Universal Sounds)からあまりリリースがなかったのですが、ここにきてがまた良い作品が出されてきましたね。本作は74年にデトロイトの小さなインデペンデント・レーベルから出されたレア盤らしく、フロントマンであるMaulawiはシカゴ育ちのマルチ奏者で、Muddy WatersやAhmad Jamal、AEOC、Sun Ra、Anthony Braxton、前衛派アーティストといった当時のシカゴ・ミュージック・シーンを担った偉大な功労者の一人であると同時に、Gene AmmonsやEddie Harris、Johnny Griffinを始めとする著名なホーン奏者の一人でもあったみたいです。また、若いミュージシャンを中心に彼が60年代から結成していたグループMaulawiとしてリリースした作品みたいなのですが、メンバーをよく見るとHu Vibrationalで知られる、当時16歳だったパーカッショニストAdam RudolphやCTIECMなどに作品を残している名ドラマーJack DeJohnetteも名を連ねています。肝心のサウンドの方は、スピリチュアルな雰囲気は控えめのラテンやアフロといった要素が含まれたファンク色の強いブラック・ジャズで、クラブ・ジャズ・ファンにも人気が出そうなダンサンブルな曲が多く、特に、オールド・スクール・ヒップホップかと思わせるパーカッシヴなミディアムテンポ・ブレイクビーツ「Street Rap」[M-1]や、静かなイメージのある名曲を疾走感溢れるインプロヴィゼーションによってスリリングな展開を見せる「Naima」[M-4]といった、当時にしか成し得ない空気感を持ったサウンドは流石の一言につきます。これはオススメです。

【関連サイト&試聴】
http://www.souljazzrecords.co.uk/release.php?ReleaseId=224&NavId=1_1&Section=1
http://www.boomkat.com/item.cfm?id=17136
http://www.juno.co.uk/products/175704-01.htm