Nu Soulの車窓から


Platinum Pied Pipers / Triple P
 (2005, Ubiquity)

 Slum Villageの創設者でもあるプロデューサー/サウンド・クリエイターWaajeedとキーボード・マスター/ギター・プレーヤーであるSaadiqによる、モダン・ヒップホップ&ソウル・デュオPlatinum Pied Pipers(以下PPP)の記念すべきデビュー・フル・アルバム。
 最初のアナウンス時はだいぶ先だなーと思っていましたが、いよいよリリース間近となりました。この5月までに様々な良盤がリリースされてきましたが、本作はその中でも一番の目玉作といっていいのではないでしょうか。私が彼らについて知ったのはUbiquityの定番リワーク・コンピ『Rewind ! 2』。当時まだ結成したてだったにもかかわらず、Faze-O「Ridin' High」、Bobby Caldwell「Open Your Eyes」という名曲を見事にカバーし、同コンピに収録されていたビッグ・アーティスト以上に印象に残るサウンドで、音楽ファンを魅了させました。2人の簡単な略歴を述べると、Waajeedは90年代初頭からJay Deeと協力しSlum Villageの基盤を作ると同時にプロデュース、またJay DeeのBBEからのアルバム『Welcome 2 Detroit』では彼とDweleと共に同等にプロデュースを行いました。また自身が主宰するレーベルBling 47を立ち上げ、インスト作品などをリリースしてきました。一方のSaadiqはMarvin Gayeとも仕事をした経験のある、世界が認めるソングライターBarrett Strongの下で経験を積んだというキーボード/ギター・プレーヤー。
 そんな名高い二人が組んだPPPのサウンドは、シンセとキーボードを始めとした鍵盤楽器とシンプルなギターリフ、巧みに構築された無機質でありながらも温もりの感じられるデトロイト・ビートを基調としたトラックに、Jay DeeやLacksことTa'Raach、Spacek、Sa-Ra Creative PartnersGeorgia Anne MuldrowことGeorgia、Tiombe Lockhartといった同じ空気感を持ったMC/ヴォーカルをゲストに起用し、デトロイト・ヒップホップやソウル、ハウス、ロックを基盤にした、まさにフューチャー・ネオ・ソウルといった感じの仕上がりなっています。上述のカバー曲は残念ながら収録されていませんが、Gilles Petersonが“Album Of The Mounth”に挙げるのを素直に頷けてしまう、本当に素晴らしいアルバムだと思います。5/10発売予定(Amazon調べ)。

【関連サイト&試聴】
http://www.ubiquityrecords.com/PLATINUMPIEDPIPERS.html