Jazzの車窓から


Francisco Mora Catlett / World Trade Music
 (1999, Planet E/Community Projects)

 90年代の名作=Carl CraigことInnerzone Orchestraのアルバム『Programmed』に参加し、最近ではKindred SpiritsのSun Raトリビュート盤『Sun Ra Dedication』への曲提供、自身のシングル「Amazona」リリースなどをしてきた、ジャズ・ドラマー/パーカッショニストFrancisco Mora Catlettの2枚目となるリーダー作。
 Kindred Spiritsからのシングル「Amazona」(コンピ『Soul Purpose Is To Move You』『Witness, Future, Vintage』にも収録)ではアップテンポなブラジリアン・ジャズを披露していた彼ですが、ストレートなジャズ・アルバムもあったのを初めて知りました。簡単な略歴を述べますと、Capitol Recordsのメキシコ部門でセッション・ドラマーとして音楽活動を行っていた後、アメリカに戻ってバークリー音楽院に学び1973年から1980年までSun Ra Arkestraに在籍。脱退後自身の音楽活動の拠点をデトロイトに移し、コンサート、ツアー、レクチャー、ワークショップなどを開くプロダクションを設立。その後、それらと並行していたアーティスト活動の集大成でもあるラテンジャズ・アルバム『Mora!』を87年にリリースしたことによって自身の名が世界に広まったことでMax Roachと活動を共にすることになり、またコネクションの拡大の影響もあってか ‘Amigo’という名のラテンジャズ・グループを結成、そして同じくデトロイトをベースにするCarl Craigが歴史に残したジャズ・プロジェクトInnerzone Orchestraへ参加しました。経歴が長くなってしまいましたが、前述のように本作は12年ぶりとなるアルバムで、総勢12名のジャズ・ミュージシャンによって編成(「Amazona」とほぼ同じパーソネル・昨年再発されたことで知られるTribeのトランペット奏者Marcus Belgraveも参加)されていて、民族楽器やアフロ・パーカッション、カリンバなどもサックスやピアノ、フルートなど他の楽器同様に前面にフューチャーされたオーガニックな色彩を持ったスピリチュアル・ジャズ・アルバム。Sun Raの作品が宇宙観に満ち溢れたものだとしたら、この人の作品は自然観に満ち溢れたものと言えるのではないでしょうか。CDは普通に手に入ると思うので興味がある方は是非試してみてください。ナウ・へヴィーローテーション。

【参照】
http://music.com/person/francisco_mora/1/
【試聴】
http://premiercrumusic.com/franc.htm
すいません、ここの2曲しか見つかりませんでした。。