Jazzの車窓から


Alverto Favero / Suite Trane
 (1968, Trova)
 (2005, Whatmusic)

 アルゼンチン人ピアニストAlverto Faveroが1967年のJohn Coltrane没後、彼へ捧げるために制作した作品にボーナス・トラックを追加した世界初CD化アルバム。
 またまた素晴らしい作品が再発されました。Alverto Faveroなる人物はアルゼンチンはラ・プラタ出身のピアニストで、シンガー/ミュージック・インストラクターである母と同国の器楽の土台を気づいた権威の一人でもある父をもっていたせいか、若干17歳でブエノスアイレスのジャズ界にとって名誉ある賞であるNew Figure Prizeを受賞したとか。また20代に入っても、地元の国立大でピアノや作曲を中心とした音楽学の教授も受け持つという、かなり早熟のピアニストだったようです。そんな彼がJohn Coltraneへの追悼の意を込めて制作された本作は、Horacio Chivo BorraroやFelnando Gelbardをはじめとする総勢20名以上のジャズ・ミュージシャンが参加し、カバー曲一切なしのコンセプチュアル・アルバム。リズミカルなドラム&ベースに満天の星空へと突き抜けていきそうな、ストリングス・オーケストレーションを模倣したかのようなトランペット、サックス、トロンボーン、そしてリリカルな表情を見せつつも時折物憂い気な空気感を漂わせるピアノがとても心を揺さぶらされます。久々に心にグッとくるジャズ作品を聴かされました。Whatmusicに大感謝です。

【関連サイト&試聴】
http://www.whatmusic.com/info/productinfo.php?menulevel=home&productid=297&returnurl=http://www.whatmusic.com/home/index.php