All Genreの車窓から

IziphoZam2004-10-14

V.A. / Dis-Jointed
 (2003, Dis-Joint Records)

 私の好きな大阪・心斎橋のレコード屋Voxmusic」で昨年ベストコンピにも挙げられていて、最近多い薄っぺらいコンセプト/内容のコンピとは全く異なり、ダブ/ラテン/オールドスクール/といった良質なルーツミュージックが中心にまとまりよく収められた、西海岸の新鋭レーベルDis-Joint Records監修のコンピレーションアルバム『Dis-Jointed』。リリース/購入ともに昨年ですが、この作品は是非ともオススメしたいので今日はこのCDを紹介したいと思います。
 Dis-Joint Recordsは西海岸のカリフォルニア州サンフランシスコを拠点にし、Vinnie EsparzaとChris Veltriの二人によって2000年の夏に設立されました。Chris VeltriはDJやコレクターにとって世界的な支柱的存在ともいえる、サンフランシスコのレコードショップ「Groove Merchant Record」のオーナーで、ファンク/ソウル/ジャズ/アフロビート/ラテン/ブラジリアン/ヒップホップといった音楽を扱い、中でも異色で変わった作品を中心に同レコードショップを運営しています。Vinnie Esparzaは地元サンフランシスコにおいては高名なDJで、ローカルなメディアを中心に数々の名声を得てきました。Vanguard Records『Loose & Juicy』やUbiquity Records『Viva CuBop 2 』といった自身監修のコンピもリリースしています。
 そういった嗜好や経歴が示すように、彼ら自身が最も情熱的に愛する音楽の影響下にある最近の良質な作品を発掘してきたレーベルで、一方過去の隠れた名作に焦点を当てているRe-Joint Recordsも並行して運営されています。今までに両レーベル合わせてシングル6枚・LP2枚をリリースしています。今回のコンピはそれらの作品も収録したレーベルのイントロデュース的な作品でしょう。
 収録作品はレゲエ/ダブではHorace Andy「Musical Episode」(1983, Wackie)[M-1]、Zap Pow「Lottery Spin」(1976, Harry J)[M-8]。前者はエコがかるリズムのいい図太いベースにボーカルが心地よいめちゃダビーな曲。後者はスカを基調にファンキーなギターとサックスがゆったいと流れるチルな曲。ラテンフレイバーなStranger & Shortbus「Rush On」[M-4]はエキゾチックで他とないダンスフロア・キラーチューン。パーカッションで始まるイントロからそのリバースで切り替わった途端、アップテンポなパーカッション/ビートにスリリングな展開のエレピが炸裂、更にファンキーなベースがフロアを助長し踊らずにはいられません。他にも珍しい展開の仕方をするオールドスクールの曲やサイケなアフロ/ファンクなど、やっぱり一風変わった新旧の曲が収録されてますね。でも前述したようなルーツ音楽の影響を与えた側・与えられた側があるとはいえ、所詮根底にある音楽が同じであるので全体的に統一感みたいなものを感じて‘アルバム’としても傑作です。「コンピ10選」とかあったら必ずいれてしまう一枚ですね。

【関連サイト】
http://www.dis-joint.com/index.html