Breakbeatsの車窓から
・Eliot Lipp / Eliot Lipp
(2004, Eastern Developments Music)
ネットの調子が悪く遅くなってしましました。さて今日は先月からずっと気になっていた、Prefuse 73のレーベルEastern Developmentsからの新たな刺客Eliot Lipp。音源がずっと見つからなくて不安だったんですが、大当たりです。さすがEastern Developments。またまた素晴らしいビートクリエイターの登場です。
同レーベルのHPにアップカミングされてからなかなかアナウンスがなかったんですが、ついに明らかになりました。ワシントン州の港市タコマ出身のエリオットは90年代のあらゆるヒップホップに精通し、ATCQやRZA、Hieroglyphicsなどを特に好んでいたそうです。98年からはベイエリアに移り、そこではサンフランシスコのヒップホップシーンに没頭したそうです。そして2001年以降、70年代のオールドシンセと怪しいサンプラーによってこそこそとレコーディングされてきたそのトラックたちは、いつの間にかエリオットをURB Magazineの「NEXT 100 list for 2004」に選ばれるほど伸し上げてしまいました。
Dabryeのようなスムースながら図太いエレクトロビートもあるんですが、RJD2のようなジャリジャリしたビートが基軸とされてて、プログラミングがまた巧みでめちゃかっこいいヒップホップビートを刻んでいます。この辺はやっぱヒップホップが相当好きだったんだなーって感じがします。ここはこうきたほうがかっこいいだろうなぁみたいな。また、シンセやサンプリングした生楽器の音による上ものもドープだったりメランコリックなサイケポップを奏でたりとかなり幅広く楽しませてくれます。「Botched」[M-3]、「Next Beat」[M-4]は初期Lootpackのトラックを思わせるようなスモーキーでありながらジャジーな香りのヴィブラフォンのループとシンセのサイケな音色がとても美しい曲でタマランチ。叙情的なスパニッシュギターの音色が心に染み入る「Linc」[M-12]はエリオットのこれからの作品を期待させる曲でこれもまたタマランチ。
こういったチープな楽器/エレクトロニクスのみで作ってしまうアーティストがどんどん出てくることはいいことだと思います。そういった方法でもできることを知った新たな才能が開花しやすくなるでしょうから。そのぶんポンコツも増えるでしょうけど。何曲か試聴できるので是非とも聴いてやってください。
【関連サイト&試聴】
http://easterndevelopments.com/eliot.shtml