Breakbeatsの車窓から

IziphoZam2004-11-10

Ammon Contact / One In An Infinity Of Ways
 (2004, Plug Research)

 遅くなりましたが、ようやくAmmon Contactの2ndアルバム『One In An Infinity Of Ways』が届きました。試聴してからずっと楽しみにしてたんですが、これまたヤバイです。Carlos Nino(カルロスニーニョ)がHu Vibrational(id:IziphoZam:20040930)Build An Ark(id:IziphoZam:20040924)での活動を経たせいか確実に1stアルバム『Sounds Like Everything』(id:IziphoZam:20041001)より更にスケールアップされ、ヒップホップの中にスピリチュアリティを見出してくれた作品。
 本作品はカルロスニーニョにとってBuild An Arkでの活動がいかに重要なものであったかが窺えます。というのも、今作にはその中核を担っていたアーティストたちがゲストで参加しているからです。ピアニストのNate MorganにベーシストのTrevor Ware、パーカッショニスト/ドラマーのAndres Renteria、フルート奏者のJoshua Spiegelman、ヴォーカルのDwight Trible(サンプル)が名に連ねています。また、Keepintime(id:IziphoZam:20041006)のRemix CDに収録されていた「Infinity Of Rhythm」のインストが収録されていたり、その曲でラップをしていた元Scienz Of LifeでStacy EppsとSol Uprisingを組むLil Sciがラップで参加しています。
 音のほうも、冒頭に述べたように1stより更にオーガニック度が増し、ヒップホップした楽曲が多くなってる気がします。前回同様にMPC 2000とASR 10シンセを中心に使った、エレクトリックながらもどこか有機的な匂いのするファットなビートは健在しているものの、それらが奏でる情緒的なメロディーやゲストミュージシャンによる生楽器演奏がそれを助長させているのかもしれません。確かに前回はゲストによる演奏が目立っていたのはDaedelusが参加したものくらいでしたからね。
 その前回も参加していた盟友Daedelusがギターを演奏している冒頭の「Dreamy」[M-1]はフワンフワンと浮遊するシンセと彼の叙情的なギターが切ない曲。1stにはなかったよりフロアを意識したような緻密に刻まれたビートがかっこいい「Through The Monn」[M-4]、「Good Life To Groove Merchant (For Elvin)」[M-8]。静かな森の木陰から聴こえてきそうなフルートが幻想的な「Love Letters For Gaby)」[M-10]。そしてエンディングを飾る表題曲「One In An Infinity Of Ways」[M-12]は切なく浮遊し木霊するシンセ音とタイトなビートが美しい「Dreamy」のトラック上に、Lil Sciによる情動を喚起させるようなライムが刹那に生きる現代人の心に突き刺さる21世紀LAアンダーグラウンドスターピース
 今年のMVPはCarlos Ninoに決定です。

【関連サイト】
http://www.plugresearch.com/
【試聴】
http://www.ninjatune.net/ninja/release.php?id=907