Nu Jazzの車窓から

IziphoZam2004-11-14

Piano Overlord / Tease EP
 (2004, Money Studies)

 ついに出ました。G. Scott Herrenの新たなる名義/プロジェクト、Piano Overlordのデビューシングルです。リリースはニューヨークのレコードショップTurntable LabのMoney Studiesから。
 今年久々にSavath & Savalas名義でリリースされたと思ったら、『Apropat’t』『Manana』ではスパニッシュ・エレクトロニック・サイケデリアなる新たな独自の音世界を奏で、スコットヘレンから創出される音に新たな1ページが加えられたと思っていたら、また新たなプロジェクトがいつの間にやら始まっていました。自身曰く、その名義の通りピアノ、ローズ、ウーリッツァーなどといった鍵盤器の可能性を探求し、ベースやギターなどといった他の器楽のように聴こえる音は、シンプルなビートとパーカッションは以外はこれらによって模倣されてるものだそうです。
 今回はそれがストレートに現れた2曲と、Diploと先日紹介したExpress Risingのリミックスを含むシングル。そこには、今まで彼が鳴らしてきたノイズやカットアップされたグリッチな音はなくなっていました。1曲目「Recuerdas?」は、まさしく彼の表現どおりに、ギターのようにギュルギュルとうねるサイケデリックなエレピと鈴の音が絡み合い、フリージャズ的にドラムが乱れるとてもスピリチュアルな曲。2曲目の「Walk Home」は、カットアップはされていないもの、Prefuse 73的にプログラミングされたヒップホップビートに、情緒的に奏でられたエレピとひそかに心地よくさせてくれるパーカッションの音がとても気持ちよく美しい曲です。
 来年の早い時期にChocolate Industriesからアルバムがリリースされるみたいですが、こんな素晴らしい曲を聴かされたら待てないです。。今年は自身が運営するレーベルEastern DevelopmentsのリリースやSavath & Savalasでの活動が目立っていた彼ですが、今後は年内にリリース予定の、日本が世界に誇るヒューマン・ビートボクサーAfraの新作のプロダクションのみならず、来年はPrefuse 73のニューアルバム、Vinia MojicaのソロEPなどのプロダクションを控えているめちゃ多忙なスコットヘレンさん。これからもがんばってチェキっていきたいものです。
 

【関連サイト】
http://www.prefuse73.com/piano.overlord.shtml
【試聴】
http://www.turntablelab.com/dailyshipment/dailyshipment.html