HipHopの車窓から

・Tableek / Keynote Speaker
　(2004, Four Brothers INC)
　昨年リリースされたアルバムも絶賛の嵐だったNYCのアングラヒップホップ・グループMaspykeのMC、TaBLEEKの自主制作盤ソロアルバム『Keynote Speaker』。
　‘増殖する(propagate)’という意のアラビア語から名をつけた、リリシストとしても名高いTaBLEEKのラップは何といっても、一度聴いたらやみつきになってしまいそうな気だるい声のラップのフロウと、一つ一つ意味深く踏まれるようなライムだと私は勝手に思っているんですが、このソロアルバムではまさにそんな彼の特徴がよく現れてるなーと思いました。っていっても私はMaspykeは『Blackout』しか聴いことないんですが。
　肝心の本作のトラックを誰がどれを手掛けてるのかは全くもって不明です。すいません。アルバム全体的にそうなんですが、「Spit: Please Listen To My Demo」[M-8]や「Worsse Way」[M-12]のように、分厚くかつスムースに流れるジャジーなサンプルループが多用されることによってミドルスクールの雰囲気が充満していて、通して聴いていてとても心地良いですね。また、ラディカルなムードのドープな「Purpose Built」[M-4]や特異に刻まれるビートがかっこよすぎる「Serene Vision」[M-5]といったちょっと一癖ある感じの曲もあって良かったです。
　今回音源がのっかったサイトがなかなか見つからなかったので試聴できるやつをなるべく選んでレビューしました。今後彼はMaspykeとの活動とは別に、イラク戦争に対する想いを込めたEP「It's 2010, time to kill whitey」、1stフルアルバム『American Terrorist』がリリースされる予定があるみたいです。ちなみに本作、自主制作盤ということでメディアは、CD-Rなので要注意です。HMVのように詳細が記載されていないwebショップで、知らずに買ってしまうと損した気分になりますからね。私みたいに(笑)。でもその代わりけっこう安いのでオススメですよ。

【関連サイト】
http://www.tableek.com
【試聴】
http://www.putemonthemap.com/t/tableek2.html