HipHopの車窓から


Jneiro Jarel / Three Piece Puzzle
 (2005, Kindred Spirits)

 今やリリース毎に世界中から注目される、オランダはアムステルダムのレコードショップ兼レーベル、Rush Hour傘下のKindred Spiritsが満を持して放つ、2005年最重要新人アーティストJneiro Jarelの待ちに待った待望のデビューアルバム。
 いやーようやくリリースされました。EPを聴いて以来どれだけ待ったことか。ホント嬉しいです。rekobaさんも大々レコメン(id:rekoba:20050106)されてます(試聴リンク同じになってしまってすいません。。)。
 Jneiro Jarelは軍隊に務める母親をもつ家庭環境に育ったため、ブルックリンからオレゴン州ブラウンズビル、メリーランド、アリゾナジョージアなど居住地を転々とし、80年代中頃にテキサス州ヒューストンに居を構えたときに彼のいとこであるDJ Starrによってヒップホップと出会い、Ultramagnetic MCs, T La Rock, Joe Ski Love,Zulu Nationといったアーティストたちに魅了されたそうな。その頃からフリースタイルや楽器演奏を始め、彼が14歳のときに本格的にその道を進むことを決意し、89〜90年にはHi Five, YZ, Special EDらと共演し、92年には本作の「Let’s Get Wit It」[M-19」でもフューチャーされているAahtueとNahumaと共に、自身がプロデュースするThe Slum Kids(aka Rhythmic Crew)なるグループを結成し、The Pharcyde, Prodigy Of Mobb Deep, The Ghetto Boysといった高名なヒップホップ・アーティストとの共演ををきっかけに徐々にグループとして、プロデューサーとしての地位と名声を高めていったそうです。
 しかし98年、自身の音楽的展望を更に広げるためにはグループを去るべきだと考え、NYに移住し一からBlack LilyやThe Wetlands、Butterfly Cafeといったオープンマイクに参加し、自ら新たな、厳しいハードルを自身に与えることによってスキルを磨いていったそうです。その後精力的に活動を続けたことによって、Rich Medina,King Britt,The MarksmenといったDJ/プロデューサーともリンクするようになり、そこからGilles PetersonJazzanovaDomuMark De Clive-Loweといったヨーロッパ・クラブ・ジャズ勢とも自然と繋がりが築かれていったそうです。
 そんな幼少期から精力的・急速な成長を促した活動をしていた彼が今回リリースした『Three Piece Puzzle』ではアシッド・ジャズ、アフロ、ブラジリアンといった要素なども取り入れ、ネオソウルやハウス、サンバ風のスタイルを持ったトラックもあり昨今のどのヒップホップにも見られない多彩なサウンド・プロダクションとなっています。全21曲完璧です。この作品を聴かなければ2005年は始まりません。あ、ちなみに店頭で見る日本盤ジャケットはモノクロのグラフィック・ジャケットですが、袋を開けると上記の写真が出るようになっています。

【関連サイト】
http://www.jneirojarel.com
【試聴】
http://www.bbarak.cz/articles.php?cid=13&id=1085&from=0