HipHopの車窓から


Ricci Rucker / Fuga
 (2005, Alpha Pup)

 ターンテーブルをあくまで音楽・楽器のツールとして捉え、誰もが認めるスクラッチ・リズムキープ&テクニックをもつ、Sound In Colorから中心にリリースする次世代ターンテーブリストRicci Ruckerのオリジナル・フル・アルバム。
 ついに待ちに待った作品がリリースされたようです。2002年のMike Booと共に作り上げたスクラッチ絵巻『Scetchbook』(Sound In Color)以降徐々に頭角を現し、最近のGhostface Killahをフューチャーしたシングル「Ghost」、生演奏を採り入れた「Like A Box Of Chocolates」、Sound In ColorのレーベルメイトでもあるGBのアルバム収録の「The Black Monolith」では、ターンテーブリスト/トラック・メイカーとして才能も見せ付けてくれました。CDユーザーにとっては今作はDaddy Kev主宰のAlpha Pupからのリリースとなっていて、上述の後者の作品の続編であるかのように60年代後半のジャズや70年代初頭のBlack JazzやStrata-EastMax RoachPharoah Sandersといったアーティストにインスパイアされて制作されたものだとか。また、基本はRicci Ruckerが操るターンテーブルから奏でられるループ、ベースライン、パーカッション、ストリングスを土台としているものの、彼が構想していたものをより緻密に実現すべく約20名近いジャズ・ミュージシャンを招き、ターンテーブルと管楽器、弦楽器、打楽器全てを採り入れた即興的演奏によって本アルバムの曲は構築され、多数の楽器によるアンサンブルから生まれるスピリチュアルかつドープな上物、スクラッチを基本に構築されたものとは思えないタイトでスリリングな彼独特のビートが堪能できるアルバムとなっています。Ricci Ruckerのスクラッチ・ビートをまだ聴いたことがないという方は是非。

【関連サイト】
http://www.alphapuprecords.com/
【試聴】
http://www.warszawa.jp/cgi-bin/user/detail/detail.cgi?GID=28304
http://www.boomkat.com/item.cfm?id=17461