Jazz/Soulの車窓から


Eugene McDaniels / Headless Heroes of The Apocalypse
 (1971, Atlantic)

 トライブコールドクエストを始めとする様々なヒップホップ・アーティストがこぞってサンプルソースとして用いたことで有名な、フリーソウル・ファンにとっては欠かせない存在であるシンガー/ソングライターEugene McDanielsが1971年に残した歴史的大名盤。
 詳しいバイオグラフィーはほとんど知らないのですが、Eugene McDanielsは60年代はジャズシンガーとして活動し、70年代においてはソングライティングだけでなくプロデューサーとしても音楽活動を行っていた人物で、特に彼が書き下ろすリリックは不当なものへ対する怒りとそれに対する希望が共存するというポジティヴな内容で、当時印象的なアーティストの一人であったとか。本作のサウンドの方はというと、なめらかでスムースなキーボードとうねるようなラインを描くグルーヴィーなベース、ミディアムテンポのタイトなドラム、彼の紳士的なポエトリーな歌声によって構成されたソウル・アルバム。ソウルとして括っていいのかどうかはわかりませんが、当時作られたものとは思えないほどかっこいいサウンドとなっています。純粋な彼のファンには失礼かもしれませんが、ヒップホップ・ファンにとってはサンプリングソースのコンピとしても楽しめる一枚ではないでしょうか。

【試聴】
http://www.tigersushi.com/site/frameset.jsp?page=Rcd.jsp&RcdId=3392