Neo Soulの車窓から


Sy Smith / The Syberspace Social
 (2005, Psyko)

 ソングライティングからアレンジ、プロデュースまで全てをこなす、ワシントン出身LA在住の稀有のニュー・ソウル・シンガーSy Smithのデビュー・フル・アルバム。
 耳の早いソウル/R&Bファンならば彼女のアルバムを待っていた方がいるのではないでしょうか(もちろん、疎い私は最近知りました)。Sy Smithはクラシックからジャズ、ファンクなどを幼少時代から好んで聴き、音楽活動も積極的に行っていたらしく、大学卒業後はWhitney HoustonMacy GrayUsherMeshell Ndegeocelloなどと客演したことによって名実共に力を付けていった彼女ですが、2000年に予定されていたデビューアルバムはお蔵入りになってしまったとか。その後もめげずに音楽活動を続けていった彼女は、The Brand New Heavies『We Won't Stop』(2001)、Ronny Jordan「Once or Twice」(同年)にリード・シンガーとして参加、また最近では去年ソロアルバムをリリースした元ATCQAli Shaheed Muhammadのアルバムにも参加していましたね。そんな経歴からも察せるような彼女のデビューアルバムである本作は、自身と前述のAli Shaheed Muhammadを中心にしたプロデュースで、James Poyserや今が旬のNicolayらもバックアップ。呟きかけるような、温もりのあるハスキー・ヴォイスから放たれるヴォーカルはもちろん素晴らしいのですが、彼女のソングライティングのクリエイティヴィティはそれ以上に目を見張らせるものがあります。鍵盤楽器やエレクトロニクスを中心に操り、オーガニック・ソウル風のしっかりとした心地良いビート・プログラミングやアドリブを効かせたスムースなシンセ音、生音サンプル、アドリブを効かせた自身のバック・ヴォーカルなど、昨今のネオソウル勢のシンガー・ソングライターに負けないくらいのサウンド・プロダクションを見せ付けています。Ali Shaheed Muhammadのアルバムの空気が好きだった人にはオススメだと思います。

【関連サイト】
http://sysmith.com
【試聴】
http://www.cdbaby.com/cd/sysmith