The Prime Element / Alborada
 (1976, Trova)
 (2006, Kindred Spirits)

 リリースする作品が全て新鋭かつハズレなしと、今や世界的に絶対的な信頼を得ることでお馴染みのオランダのKindred Spiritsが新たに設けた、スピリチュアル・ジャズ発掘レーベルFree Spiritsからの第一弾再発作品。世界初CD化。
 もう世はオランダ発信という時代なのでしょうか。過去のKindred Spiritsからのリリース作品は言うに及ばず、公式HPのラジオでの良質なジャズやブラジル、ラテンといった音楽紹介からこの再発シリーズを楽しみにしてましたが、んーやばいですね。Timeless音源コンピは収録曲からすると、現クラブジャズ・ファンをメイン・ターゲットにした序章的な感じでしたが、これは本当久々ガツンとやられました。なんせ噂によるとあの若杉実さんも知らなかったというブツですし。まさにニュー・ディスカバリー以前紹介したAlverto Favero同様にオーケストレーションを多用したスピリチュアル・ジャズなのですが、叙情的でアブストラクトな感があった同作品とは一味違ってフロアキラーになりそうな楽曲揃い。ストリングス・アレンジがとてつもなくスリリングな、ブラジリアンな雰囲気を持った「Southamelodic」[M-1]、スキャットなのかボーカルなのか分からなくなるほどの存在感を持った歌声と、これでもかとグルーヴを描く、幾重にも連なる鍵盤楽器(アコピ、ローズ、ハモンド、シンセ、ムーグ)とベース、疾走するドラムが最強過ぎる「Lola」[M-4]を聴いたらもう即死です。他にもソフトロック調の和みトラックもあってアルバムとしての完成度も素晴らしいかと思います。Kindred SpiritsとP-Vineに感謝さまさまです。

【試聴】
http://www.rushhour.nl/distribution/kindred/ksre1cd.html