Jazzの車窓から

IziphoZam2004-10-29

Smoke / Everything
 (1973, MPS)
 (2004, Q-Tape)

 ヨーロッパの中でも特に良質な作品をリリースしてきたドイツの老舗レーベルMPSから、1973年に発表されたSmoke『Everything』がTop Rockingなどのリリースで知られるフランスのQ-Tape Recordsから再発されました。まったく知らないアーティストだったんですが、MPSの過去の作品は相当レアなのと、試聴してかなりかっちょよかったので購入しました。名前もかなり素敵ですしね。
 Smokeはカリフォルニアの学生によって結成された白人と黒人の混成グループで、略歴等は不明ですが今作は1971年に録音されたもの。メンバー&楽器構成は、Woodi Webb(ヴィブラフォン, リーダー)、Curtis Clark(ピアノ)、Danny Daniels(オルガン)、Bobb Bragg(ベースギター)、Kenny Jenkins(ベースヴァイオリン)、Akira Tana(ドラムス)、Garry Griffieth(コンガドラムス&パーカッション)、Hakim Ali Muhammad(ハープ)、Nardy Dedmann(アルトサックス, ベースクラリネット, ボーカル)、Shirley Puckett(ボーカル)、Lani Wilson(ボーカル)の計11人(たぶん)。
 オルガンの音色に優しく包み込むようなエレピの上に静かに流れるヴィブラフォンが、ぐっと心に染み渡るような美しいメロウグルーヴ「Shaelda」[M-1]。パーカッションと独特のエレピのタッチで構成された「Lobotomy」[M-2]は、楳図かずおスタジオジブリがコラボしたような情景が思い浮かんでしまうくらいスピリチュアル。最初は気持ち悪い感じのうめき声のようなボーカルから入るんですが、時間が経つにつれて美しいハミングに変わり、とても神々しく聴こえてきます。アルバムの表題曲「Everything」[M-3]はリーダー/ヴィブラフォン奏者のWoodiが、Thelonius Monkにインタビューした際にたびたび返ってきた‘Everything’という言葉にインスパイアされたのが元らしく、彼のために書いた曲でもあるそうです。
 先日紹介したFour Tet『LateNightTales』にも収録されていた「Griffo」[M-4]は、ダンサンブルなドラム/コンガとパーカッションによるアフロセントリックなブレイクビーツ。エンディングを飾る極上のジャズファンク「Curtis」[M-6]は、シンプルながら図太いベースにジャムチックに入るオルガンやクラリネット、フリーキーなサックスやフワフワと浮遊するエレピ、そして時折激しく叩かれるドラムがめちゃかっこええスピリチュアル・ジャズファンクです。
 久々にいいもん買ったって感じにかなり好きな作品です。一人旅で山にこもるときに持っていきたいですね。木々の合間から差し込む射光を浴びながらでも。あ、ちなみに今のとこLPしか再発されてないみたいです。これは是非ともCDでも出してほしいです。はい。